『心の底に沈めたもの』



 愛とは何ですか?
 迷える者に教えを説きながら、私はときどき考えるのです。


 物心ついた頃からずっと日常的に存在を意識している神を想って。
 神が等しく与えてくれるものならば、私は最初から見放されています。


 行く先々で出会う憎らしいほどに頬を薔薇色に染める家族を見て。
 両親から与えられるものならば、私には親などいません。


 そして、私に関わる全ての人の声をきいて。
 愛とは与えられるものなのならば、私は誰にも見向きもされません。



 私は誰からも求められない。

 誰も。



 私の背に刻印を焼き込み、体罰を与えることだけを続けてきた修道院-牢獄-から 私を広い世界へと導いてくれた私の神-主君-。


 誰も私を愛してくれなくて構いません。


 だから、私は狂おしいほどに貴女のことをお慕いしております。
 私から貴女を愛しております。

 だから、貴女も私を愛してくれなくても構いません。






 貴女を想うことだけが私の全てなのです。





next


ウィンドウを閉じて戻ってください。
(痛い恋愛七題:愛してくれなくても)