この二次創作の『聖戦』『栄光』を読んでくださった方。本当にありがとうございました。

 本当に長かったです。書いても書いても終わらなかったです。
 しかも、文章のボキャブラリも表現もそんなに豊かではなく、反省する点ばかり。
 中盤三話目くらいまでを書いているころに、「なんで文書き初心者が長編書いているんだろ?」とか 何度も何度もくじけてましたが、暖かい感想や応援を頂いたことで頑張れました。 励みになります、なんていうありきたりな言葉で申し訳ないのですが、本当に全ての糧でした!

 おかげ様で聖戦、栄光、共に序章+全17話、書き上げることができました。
 あとがきを書く、という作業を楽しみに今まで書いてきたのですが、こんなに寂しいものだとは思ってもみなかったです。


 この二つのお話は片方はもちろん「両方読むと美味しくいただける」というサウンドノベルのような コンセプトで書いていた実験作でもありました。
 ですので、話の流れの根底、というかキーポイントは実は全く一緒でした。
 「アリーナが冒険に出たがるきっかけはクリフト」「最初の旅立ちの後押しはクリフト」 「ゴットサイドでは留まること」など。性格は違うので、聖戦君、栄光君の反応の違いなんかも出せて楽しく書けました。
 そして、同じ世界観にありながらまったく違う展開をもたらしたのは、
「フレノールでの黄金の腕輪は二つあった」「クリフトはアリーナのことをどう思っていたのか」です。 この違いが聖戦君と栄光君の最も異なった点になりました。
 つ、伝わったでしょうか…。伝わってなかったら、今からでもぜひ、そういうことでお願いします。


●聖戦キャラについて
・聖戦クリフトは人物紹介にもある通り、世間知らずのお坊ちゃんで始まりました。 誰からも愛される優しいお兄さんです。それでも、賢く優秀、そんなクリフトを目指しました。 そして、旅が進むにつれて自分の意見をはっきりと持ってそれを貫ける一人前の男に成長できたかと思います。 エンディング後の展開は、どうか幸せな展開をそれぞれ想像してもらえたら嬉しいです。
 作中では深く触れられませんでしたがミネアの彼に対する思いは「優しさ」です。 「恋愛感情」とも「同情」とも違う接し方がミネアらしいと思っていました。
・アリーナは最初はわがままで豪快。お転婆で純粋を絵に描いたようなお姫様に書きました。 クリフトの性格を考えると、年下ながらのお姉さん肌のお姫様に育つのだろうなぁ、と。 そして、中盤以降は王女、というよりも女王のように逞しく育ったかと思います。 それでも、クリフトへの恋心に気付いて「昔ながら少女漫画のヒロイン」のように恋できる、そんな姿も見せる アリーナになりました。
・クリスは栄光よりも、ずっと多く苦しんだと思います。誰も彼女の苦しみを最後まで理解できなかったはず。 それでも分からないなら分からないなりに彼女をサポートしてきた仲間達に感謝して、 これからの人生はきっと幸せに生きてくれるはずです。
・ブライは栄光のクリフトアリーナ程手を焼かなかったので、仲間と合流してからは隠遁生活でしたね。 出番は減ってもずっと二人を見守っている優しいお爺ちゃんでした。

●栄光キャラについて
・栄光クリフトは大きい子供だと思って書き続けてきました。聖戦クリフトが回を重ねる毎に成長していっているのに 対して、序盤から終章までずっと大きな子供。序盤こそ、聖戦君よりも頼りになる様子でしたが、 終章近くなると聖戦クリフトも栄光クリフトも同じくらいの逞しさになっています。
 また、トラウマレベルが聖戦君よりもずっと深いので高所恐怖症の自覚や原因もよくわかっていました。 (聖戦君は無自覚。)さえずりの塔は上らせなかったですし、気球では寝ててもらいましたが、 行っていたら暴れて拒否するくらいすると思います。
 後、アリーナのことは好き嫌いではなく「憧れ」や「崇拝」、そんな気持ちでいたと思います。
・栄光アリーナはわがままなお姫様でした。少し影のあるクリフトと共に成長して、 母を亡くした彼女は頼れるのはクリフトだけでした。作中でも書いていますがこれは病的な「共依存」です。 そんな彼女も話が終盤になって、クリフトへの依存を断ち切ります。 それについてくることが出来なかったクリフトはやはり成長が少なく、一方アリーナは大きく成長していましたし、成長し続けました。
・ブライは手間のかかる二人で最初から最後まで心配ばかりだったと思います。多分、髪の毛が減りました。
・クリスは聖戦よりも穏やかな心で過ごすことが出来たはずです。 クリフトという理解者(同志)がいたことで、心に余裕がありました。 中盤に見せたクリスのクリフトに対する感情は恋心というよりも「理解してくれる彼に側にいてほしい」という 独占欲に近いものであったと思います。
・赤色、青色について。栄光での黄金の腕輪が本物であったということで登場した呪いの具現化です。 ここらあたりは漫画の「プリンセスアリーナ」の影響がかなりあります。(というよりも全体的に刷り込まれてますが)
 オリジナルにも程があるだろ!ということで多くの方がびっくりしたんじゃないかとも思います。
 赤色、青色が現われたことで多くの人が殺されましたが、クリフトとクリスにとっては己を見つめ返す最初で最後の機会でした。
 私としては存分に二人の恨みつらみを晴らしてもらいました。


●オリジナル神官について
・彼らを好き、と言ってくださる言葉が実はかなり嬉しかったです。
・設定も独特ですが、この世界における神官ってどんなんなんだよ、ちくしょう。と、 3日間くらい真剣に考えた結果、こんな設定になりました。
 当初は○○官、という肩書きはなかったのですが、神官の中でも特にこの部分に秀でているんだ! というのを表現するのに最も都合が良かったんです。
・歴史、医術、知識、教育。神官について最も得意とする分野、と書きました。 教育、知識。モデルとなったヨーロッパの舞台を思うと聖職者、学者は最も高度なインテリだったと思います。 サントハイムは魔法、宗教に最も理解のある国、と考えていたので(紋章とかね)、それなら聖職者を招けば効率がいいだろう、 と思ったわけです。学者いないしね、あの城。
 歴史は国家が推進する学問の中で語学と同様、非常に重要な分野です。実際の歴史でも東西南北問わず、そうあります。 国を纏め上げるのに必要不可欠なので、ここを研究してもらいました。
 医術については、ドラクエ界における僧侶は癒し専門なのでここはがんばって研究してもらったわけです。
 深く考えているようで、あまり考えていません。

・フレイ。 フレイは本当に身近な人のいいお兄さんでいてもらうようにしました。 かっこよくて、優しくて、何でもできて。そんなお兄さん。 私の理想を形にしたようなキャラでした。
・ティゲルト。 厳しいけど、優しい。怖いのに、何故か親しみがある。 係長とか課長、そんなポジションにいるような親近感のある人にしたかったです。 まだまだおじさん、と呼ばれると傷ついちゃうようなお年頃のダンディです。
・リゲルタ。 職人気質で人のいい優等生の先輩。イメージは大きい吸血鬼でした。 登場は一瞬でしたが、お気に入りのキャラです。
・セイルート。 神聖魔法の第一人者で、彼でも呪いは解けない。そして、彼にザオラルを教えてもらう。 という都合が先にあって彼ができました。ミステリアス系にしたことで、一気に存在感が強烈なものになりました。
・サーフィス。 神官連中の中にちょっと腹黒い人がいてもらわなければ困ったことになるので彼が出てきました。 ティゲルトと気質は正反対になっています。“犠牲”意味の英単語をもじった名前の通りの優しい頼りになる先輩です。
・ルオン。 彼のビジュアルだけは相当先にイメージがありました。 もっと長身でスマートなキャラだったのですが、彼の背を縮めたらあまりにもキャラが立ったので続投。
・ラスガルド。 神官連中は愛が強すぎて全員が主役級のキャラ立ちだったことに気が付き、 名前しか設定のないような人もいないと濃すぎると思って彼を作りました。 イメージはカリブっぽい強面ながらも超小心者の顔でいるんですが、描かず仕舞いでしたね。 いずれ、二次創作ではないオリジナルを描くときにはラスガルド含め彼らには存分に活躍してもらいたいです。

●ニックについて
・不憫な子でした。特に栄光クリフトの人生に深く突き刺さっています。
 サランに戻ってきた墓前の栄光君の姿には魂だけになっても、きっと叱咤している、そんないい子でもありました。

●やってしまったこと
・カメレオンマンはメラ使わないよ。
・天空の剣はマスタードラゴンに会わないと特殊効果ないよ。
・いろいろやってしまったんですけど、一番の勘違いはここ。ソレッタにも教会ありました。あちゃー。


●付録
・ありがたいものでもないと思いますが、連載中に「設定メモが見たい」と 声をかけてくださった方がいましたので、連載が終わった今、一部をアップしようと思います。
 決定稿のほとんどは 「キャラクター設定」 「オリジナルキャラクター」 「教会組織」 「『聖戦』『栄光』について」で清書してあります。
 それ以外の項目↓別窓で開きます。(※字はあまりにも汚いので雰囲気をお楽しみください)
最初期プロット
初期段階プロット
書き始める前にテーマの確認にまとめたもの
オリジナル神官パーツ設定(ティゲルト・フレイ)
オリジナル神官パーツ設定(ルオン・セイルート)
クリフトパーツ設定
アリーナパーツ設定

 この初期プロットより前段階の分で2パターンに分けない、全く違ったプロットがあったんですけど、 雨に濡れて全滅の憂き目に…orz。それで今の内容に変更していったので、全滅は運命だったのかも。



 ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
 暖かいお言葉や応援、『聖戦』『栄光』を書ききることが出来て、私自身もたくさん勉強できました。 この経験を活かして今後の創作も楽しく続けていきたいと思っています。


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